2026年9月05日
「水分をたくさん摂れば健康にいい」は本当?
夏が過ぎ、気温が下がってくると、
「夜中にトイレに起きる回数が増えた」
と悩む方が増えてきます。
その原因のひとつが、水分の摂りすぎです。
熱中症予防のために水分を摂ることは大切ですが、必要以上に飲んでしまうと、日中の頻尿だけでなく、夜間頻尿につながることがあります。
では、どのくらいが「適量」なのでしょうか?
1日に飲む水分量の目安
水分摂取量には個人差がありますが、ひとつの目安となるのが体重です。
飲む水分量の目安
体重(kg)×20~25mL/日
たとえば、
体重60kgなら
1,200~1,500mL/日
が「飲む」水分量のひとつの目安になります。
※食事にも水分が含まれるため、ここでいう水分量は「飲み物から摂る水分」の目安です。
「尿量1,500mL」は誰にでも当てはまる?
「1日に1,500mLくらい尿が出るのが正常」と聞いたことがある方もいるかもしれません。
腎臓には1日に約150Lもの血液が流れ込み、その約1%にあたる1,500mL程度が尿になります。
しかし、この1,500mLという数字は、あくまで体重60kg程度の方を想定した目安です。
体重が軽い方であれば、必要な水分量や尿量も少なくてよい場合があります。
つまり、
「1日1,500mL飲まなければいけない」
というわけではありません。
「よかれと思って」が招いた苦い経験
以前、からだの小さな高齢女性に生体腎移植を行ったときのことです。
私はその患者さんに、
「水分をよく摂るように」
と、少し曖昧な指導をしてしまいました。
とても真面目な患者さんだったため、毎日なんと3L以上もの水分を摂るようになりました。
そして最終的には、「水中毒」で救急搬送されてしまったのです。
この経験は、私にとって大きな反省となりました。
それ以来、外来では、
「水分は、あなたにとっての適量を飲んでください」
と、できるだけ具体的にお伝えするようにしています。
持病がある方は「飲みすぎ」にも注意
狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの既往がある方や、糖尿病の方は、
「水分をよく摂るように」
と医師から言われていることもあるでしょう。
もちろん、適切な水分補給は大切です。
一方で、
「体に良いから」と必要以上に水分を摂ることは、頻尿や夜間頻尿の原因になることがあります。
特に、夜間頻尿でお悩みの方は、一度ご自身の水分摂取量を見直してみましょう。
※持病や服薬の状況によって適切な水分量は異なります。水分制限・水分摂取について医師から指示を受けている方は、その指示を優先してください。
夜間頻尿が気になる方へ
夜間頻尿は、単純に「年齢のせい」とは限りません。
水分の摂り方や尿量、生活習慣などを確認することで、改善につながる場合があります。
まずは、
「1日にどのくらい飲んでいるのか」
を確認してみることから始めてみましょう。
次回は、夜間頻尿を考えるうえでもうひとつ重要な「膀胱の容量」についてお話しします。
